読書の時間がない日記

図書館で文芸誌を借りるのが好き。永住の地の最寄り図書館は好みの文芸誌が置いていなくて悲しい。育児と仕事で読書の時間が取れないサラリーマン。

村田沙耶香/地球星人(2018年5月号)

期待が大き過ぎた。しかし、充分に及第点だった(何様)。

本作は女性の生きづらさを描いた作品なのかもしれないが、それよりも「高度な専門能力や優れた身体能力、恵まれた容姿などがない人間は価値がないという昨今の風潮を揶揄したもの」として読んだ。女性だけでなく男性も、幼少期から親や周囲に恵まれず困難を抱える人はおり、社会人になってからも“男性は稼ぐ、女性は良妻賢母、適齢期には結婚し、子供を(できれば複数人)もうける”という社会規範に呑み込まれる。昨今の政府がこの社会規範を助長する姿勢が強いし、もはや我々は周囲の人間に恵まれることがないとまともに生きていくことは無理ゲーのように思われる。それこそ“共助”で乗り切るしかないのだ。

とりあえず、親が子供を大事にしない作品を読むのは辛い。いきなりのぶっとびSF?世界にはどん引きだったけど、ここまでして自分を防衛しないと生きていけないんだからその地獄っぷりたるや凄まじい。
そして結末は自分の理解の範疇を超えている。これこそ完全にSFの境地に達しており、男女三人の妊娠が何のメタファーなのかも分からない。作品を完全に消化できず、筆者に謝りたい。