読書の時間がない日記

図書館で文芸誌を借りるのが好き。永住の地の最寄り図書館は好みの文芸誌が置いていなくて悲しい。育児と仕事で読書の時間が取れないサラリーマン。

舞城王太郎/裏山の凄い猿(群像2018年12月号)

正直、舞城王太郎のぶっ飛び感はあまり好きになれず、食指が動かない。世界観もぶっ飛んでいるし、何より怒涛のように流れ打つ文書が好みではない。が、これは面白かった。「結婚できない」と指摘されたことに素朴に悩む主人公にまず胸を捕まれ、「人のことを上手に好きになれん」と明言するチャーミングな母ちゃんにやられた。

過去の事件の推理的展開は読ませるし、主人公なりの“優しさの発揮”の仕方は人間臭くて良いよね。

読みながら、4歳の自分の息子のことも考えていた。

「啓太くん、」
と俺が手を伸ばすと啓太くんがそれを握ってくれる
子供ってこんなに素直なのか、と少し驚く。
六歳児の手は小さく、指は細い。
でも固く、暖かい。
生きている。

ほんと、その通りなんだよ。